千葉県や伊豆大島、八丈島等に生息する害獣であるキョン。小さい鹿の様な哺乳類の生き物で、本来日本にいないはずなのですが、なんと千葉県内に5万頭が生息しているといわれています。いわゆる外来種ですが、キョンによる農作物の食害はニュースになるくらい深刻な状態となっています。千葉県内のイノシシの生息数が2万頭であることを考えるとその多さが分かると思います。
by いらすとや
このキョンですが、本来中国(台湾)に生息している生き物で、過去に千葉県の南東岸、太平洋に面した勝浦市にあった動物園(遊園地):行川アイランドで飼育されていたものが脱走し、それが増えたという説が濃厚です。
キョンの自然増加率は年間36%とイノシシと同じか少し高いです。1産1子なのに増加率が高い理由は2つあります。
①生後半年で妊娠できるだけ成長し、生後1年で初出産を迎える
②特定の繁殖期はなく、いつでも生殖する
この勢いで増加した場合、2040年に60万頭弱まで増え、2017年現在の千葉県の人口と同等となります。キョンがいたるところで目撃される…恐ろしい事態です。お米、スイカ、柿、みかん、トマトを食べてしまうため、農業にさらに深刻なダメージを与えることになるでしょう。そうすると農業をやめる農家さんが増え耕作放棄地が増えます。そこにイノシシやハクビシンといった害獣が進出して、さらなる食害に悩まされ、また耕作放棄地が増え…と負の連鎖となります。
しかし、現在キョンは狩猟対象外ですので、害獣駆除の依頼が来ない限り獲ってはいけないのです。
害獣としてしとめられたものを食べたことのある猟師さんに聴くと、鹿肉よりも牛肉に近く、臭みやクセがなく食べやすい。イノシシの次くらいに美味いかな…でも1頭あたりの肉の量は少ないとのこと。狩猟対象でないことが残念でなりません。
食害の報告を市役所、町役場、村役場にあげることでその深刻さが伝わります。人に迷惑を掛けるのは申し訳ない、と思わず遠慮なく駆除の依頼をしていきましょう。そうすることで同じ様に食害に悩む人たちが救われることになります。さらには、環境省や都道府県が狩猟対象として指定することとなり、駆除の申請をしなくても猟師が獲ってくれるようになっていくはずです。