観光客にとっては可愛い鹿も…農家にとっては厄介者

多くの人が修学旅行や観光で訪れる奈良で、鹿の捕獲が始まったそうです。その理由は鹿による農作物の食害です。収穫前の稲の4分の1を食べられてしまったというニュースがありました。
奈良市郊外で一部捕獲始まる(NHKニュース)
by いらすとや

奈良公園を訪れた人は経験しておられるかも知れませんが、鹿せんべい欲しさにかばんの中にまで首を突っ込む鹿、前足を上げてのしかかって来る鹿、道路を渡る鹿による車の渋滞などなど、奈良公園の周辺では鹿が闊歩していますよね。国の天然記念物に指定されていることもあり、むげな扱いをできないこともありますが、可愛い外見のため危害を加えようという人もいないのではないでしょうか。

一方で奈良市で農業を営む人たちにとっては害獣でしかありません。苦労して育てた農作物を食い荒らされてしまったら、その感覚も当然と思います。ニュース記事では田んぼ一面の稲穂を食べられてしまった様です。それを語る農家の感情が伝わってきます。

こういった食害が増えたこともあり、奈良市郊外の一部で鹿の捕獲が許可されたということです。

しかし農家の方が自衛のために捕獲する頭数は限られていることは容易に想像がつきます。あくまでも田畑に侵入しようとする鹿を獲るわけですから、それ以外の市内や山に生息する鹿は増え続けるため、田畑に侵入しようとする鹿は減らないのではないかと考えます。

奈良市に限定したことではありませんが、以前に記事にしたように、鹿・イノシシによる農作物の食害や森林や植物の食害は年間200億円の損害と無視できないほどに深刻化しています。200億円の利益を出すためにどれだけの生産(売上)が必要かを思うとその大きさが分かります。
なぜ今狩猟が注目されているのか

こういった害獣の駆除・捕獲について環境省から捕獲者(猟師・ハンター・農業従事者)に対して助成金が出ておりますが、その助成金の不正受給という問題が新たに発生し、その不正を正そうと監視を強化すると今度は駆除・捕獲数が減ってしまったりと、課題は多いようです。
鳥獣駆除の報奨金を水増し受給

そういった課題に対応するためにも、現状を公開して観光客など一般の方にも可愛いからといって餌を与えると、イノシシ・シカ等の獣は人を恐れなくなり食害の被害が増えること等を理解してもらったり、また、それらの食肉も美味しいということを知ってもらえたら、猟師・ハンターも活動しやすくなると思います。

その一方で民間企業には、狩猟の世界の体験セミナーの開催や、ICTの導入によって効率的に助成金の不正受給を取り締まる仕組みを考えてもらったり、野生肉の処理・流通に参入してもらったりしてもらえたら良い方向に向かうのではないかと思います。

私としては一般の方々に狩猟の世界の情報を発信することでその一翼を担えたら良いなと思います。そのためにこれからも多くのことを学んでいきます。

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