ジビエのための狩猟 ~食べる楽しみ~

私が狩猟を始めるきっかけの一つに野生の肉を食べる楽しみにあることはお話しました。いわゆるジビエと呼ばれるもので、日本でも認知されてきました。今朝(2017年4月5日)のニュース記事にもなりました。記事は末尾に引用しまています。

身近なものとしては鴨肉を使った鴨鍋、イノシシ肉を使ったぼたん汁(ぼたん鍋)があります。皆さんも食べたことがあるかも知れません。家畜の肉では得られないコクのある出汁が出て、残りのスープだけでご飯や麺類が食べられるほど美味しいです。

私がこれまで食べたものは、鴨鍋、イノシシ肉の焼肉・肉まん・ぼたん汁、鹿肉の佃煮・カレーです。鹿肉は赤身が多く淡白な味のため、一部の猟師にとって獲物の肉としてはあまり喜ばれない様ですが、実際に食べて見るとそんなことはありません。肉の特徴に合わせて調理することで、とても美味しくなります。

その中の鹿肉は私の義理の妹(嫁の妹)が北海道でしとめたもので、しっかりと加熱調理され缶詰になった佃煮でした。薬味として生姜が入っており、味は濃厚、例えるなら牛肉のブロックをシチューにしたときの味で、やわらかくホロホロで、それだけでご飯が食べられました。
身近に猟師がいるとお肉のおすそ分けがあるのも良いところです。
私の知人のベテランハンターによると鹿肉はカレーやシチューにとても合う肉だそうですが、実際に食べてみて実感したところです。

ただジビエ料理の欠点は肉の供給が安定しないため、レストランで食べるととても高価であることが多いです。大よそ牛肉料理の2倍~3倍くらいの価格です。ですので、なかなか食べる機会がないと思いますが、ハンターによる野生肉食味体験会なども他のハンターの方が開催しています。

山賊キッチン:腹ぺコとらさんが主催する野生肉食の体験会で野生肉の王道である鴨から、珍しい肉まで様々な肉を用意している様です。もちろん、珍しい肉と王道の肉の両方を用意していただけるため、クセが強くて何も食べられないなんてことも無いようです。

東京都八王子市の郊外で開催されている様ですので、興味のある方は是非体験してみてください。

またこちらはリゾートホテルが主催の狩猟体験、食肉加工見学、希望者はジビエ料理が食べられるツアーです。
命と食を学ぶ狩猟体験ツアー

ジビエに関する国の取組みを発表(日本農業新聞より引用)

野生鳥獣の肉(ジビエ)の利用を拡大していくため、政府は菅義偉官房長官を議長とする関係省庁の対策会議を設置する。5日に首相官邸で初会合を開く。省庁の縦割りをなくし、官邸主導で大胆な戦略を打ち出す。課題となる効率的な流通体制整備や、需要の掘り起こしにつながる具体策を検討する。伸び悩むジビエ利用を大きく進め、地方の経済成長につなげる。食肉利用が広がれば、狩猟を一層推進し、農作物被害の抑制につながる期待が大きい。

設置するのは「ジビエ利用拡大に関する関係省庁連絡会議」で、山本有二農相が副議長を務める。ジビエを所管する農水省に加え、野生鳥獣の捕獲を進める環境省、食品衛生を担う厚生労働省なども参加する。会議は複数回重ね、2018年度予算の各省庁の事業などに反映させる方針だ。

ジビエの利用拡大に向けて、最大の課題となっているのは流通体制の整備だ。農水省の調べでは、捕獲した野生鳥獣の9割が食肉利用されずに廃棄されており、供給が不安定となっている。捕獲した山林からの運搬が困難なことが背景にあり、食肉処理施設まで運んで放血や内臓摘出ができず、肉が傷んでしまうケースも多い。

このため対策会議では、山林から消費地までの効率的な流通体制を省庁横断で整える方策を議論する見通しだ。現状では、山林からの鳥獣の運搬ルートが整っていない地域が多い。特に鹿は国有林や国立公園に多く生息していることから、これらを所管する環境省などの協力が欠かせない。

併せて、ジビエの需要を掘り起こす対策にも力を入れる。生産や販売に成果を上げた全国の優良事例を分析し、ジビエが普及していない地域にも役立つ消費拡大策を打ち出したい考えだ。

食肉の衛生基準も検討課題になるとみられる。現在は厚労省が狩猟方法や食肉処理、販売などの段階ごとの基準をガイドライン化している。これを基に、狩猟現場が取り組みやすい仕組みが作れるか議論する。

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